遺産分割前でも預金を下ろせる「仮払い制度」とは?葬儀費用・当面の生活費に

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遺産分割前でも預金を下ろせる「仮払い制度」とは?葬儀費用・当面の生活費に

身近な方が亡くなると、その方の預金口座は基本的に凍結され、遺産分割が終わるまで自由に引き出せなくなります。ところが、葬儀費用や当面の生活費など、待ったなしの出費は次々やってきます。そんなときに使えるのが、遺産分割の前でも一定額を引き出せる「預貯金の仮払い制度」です。この記事では、引き出せる金額の計算・必要書類・注意点を、具体例をまじえて整理します。

要点

この記事でお伝えすること

  • 亡くなった方の口座は、金融機関が把握した時点で凍結されます。
  • 遺産分割の前でも、一定の範囲で預金を引き出せる仮払い制度があります。
  • 引き出せる額には計算式があり、1つの金融機関につき上限150万円です。
  • 他の相続人の同意がなくても、各相続人が単独で手続きできます。
  • 「葬儀代が急に必要」「当面の生活費が心配」という場面で役立ちます。
相続で当面の費用を工面するイメージ

なぜ口座は凍結されるのか

金融機関が名義人の死亡を知ると、その口座は原則として凍結されます。これは、相続人の一人が勝手に引き出してしまうといったトラブルを防ぎ、遺産を公平に分けられるようにするためです。凍結された口座は、遺産分割がまとまるか、相続人全員の手続きが整うまで、原則として動かせません。

とはいえ、葬儀費用、入院していた病院への支払い、当面の生活費など、「今すぐ必要なお金」は待ってくれません。そこで、平成30年の相続法改正で設けられたのが仮払い制度です。

仮払い制度で引き出せる金額

金融機関の窓口で手続きする場合、引き出せる金額には次の計算式があります。

引き出せる額の計算式

相続開始時の預金額 × 1/3 × その相続人の法定相続分
(ただし、1つの金融機関につき上限150万円

民法第909条の2は、各共同相続人が、遺産分割前でも、相続された預貯金債権のうち一定額について単独で権利を行使できると定めています。その額は「相続開始時の債権額の3分の1に、その相続人の法定相続分を乗じた額」とされ、同一の金融機関ごとに法務省令で定める額(150万円)が上限とされています。 出典:民法 第909条の2(e-Gov法令検索)ほか

家族構成べつの計算例

同じ預金額でも、相続人の構成(法定相続分)によって引き出せる額は変わります。1つの金融機関に預金600万円がある場合の例です。

相続人の構成引き出す人計算引き出せる額
配偶者+子1人配偶者(1/2)600万×1/3×1/2100万円
配偶者+子2人子の1人(1/4)600万×1/3×1/450万円
子3人のみ子の1人(1/3)600万×1/3×1/3約66万円
預金1,500万円・配偶者のみ配偶者(1)1,500万×1/3×1=500万→上限150万円

※計算上150万円を超える場合は、1金融機関あたり上限の150万円までとなります。実際の預金額・相続分に当てはめて計算します。

銀行の窓口で相続手続きをするイメージ

手続きに必要なもの

金融機関によって多少異なりますが、一般的には次のような書類が必要です。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍(相続人を確定するため)
  • 相続人全員の戸籍
  • 手続きをする相続人の印鑑証明書
  • その相続人の本人確認書類

戸籍集めは仮払い以外の相続手続きでも必ず必要になります。「法定相続情報一覧図」を先に作っておくと、複数の金融機関で使い回せて便利です。

使うときの注意点

  • 引き出した分は、あなたが相続した財産の一部として扱われます。あとの遺産分割で精算されます。
  • 使い道の記録を残しておきましょう。葬儀費用などに充てた場合、領収書を保管しておくと、後の話し合いで説明しやすくなります。
  • ほかの相続人とトラブルにならないよう、引き出す前に一声かけておくと安心です。

「凍結されて困っている」というご相談は本当に多いものです。仮払いを使うべきか、それとも早めに遺産分割を進めるべきか。状況によって最適な進め方は変わりますので、迷ったらお気軽にご相談ください。

よくあるご質問

相続人全員の同意がないと引き出せませんか?

この制度は、上限の範囲内であれば、他の相続人の同意がなくても各相続人が単独で手続きできるのが特徴です。ただし後の遺産分割で精算される点は押さえておきましょう。

上限を超えて引き出したい事情がある場合は?

家庭裁判所の判断を得て仮払いを受ける方法もあります。金額が大きい場合や事情が複雑な場合は、専門家を交えて進めることをおすすめします。

複数の銀行に口座がある場合は、それぞれで使えますか?

上限150万円は「金融機関ごと」です。複数の金融機関に口座があれば、それぞれで計算・手続きができます。

引き出すと、相続放棄ができなくなると聞きました。本当ですか?

引き出したお金を私的に使ってしまうと、単純承認とみなされ相続放棄ができなくなるおそれがあります。放棄も視野に入れている場合は、引き出す前にご相談ください。使途によって扱いが変わります。

まずは現状をお聞かせください

「何から手をつければいいか分からない」その段階でのご相談で大丈夫です。内容が固まっていなくても構いません。下松市・周南市・光市を中心に、費用・必要書類・進め方を最初にお示しし、見える形で進めます。初回相談は無料です。

行政書士はしもと事務所 代表 橋本 浩司(登録番号 第24350320号)
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